本日は、「住宅ローンの5年ルール、125%ルール」について学びなおし。
今年3月に日銀がマイナス金利政策の解除を発表。わずかではありますが、金利が引き上げられることになりました。(0〜0.1%程度、無担保コール翌日物レート)
これを受けて、特にメディア界隈では今後の住宅ローン、とくに変動金利への影響が注目されているようです。
そこで今回は、「日銀の政策変更によって住宅ローンの変動金利がどうなりそうか?将来の返済に不安材料はあるのか?」について、私なりの知見を綴っていきたい思います。
たった0.1%アップで…
住宅ローン金利は、たとえわずか0.1%の上昇であっても全体を通せば大きな出費になり得ます。
たとえば、「元金3,000万・金利0.5%・35年払い」なら、毎月の返済額は77,875円、総返済額は32,707,560円です。(※手数料、保証料は割愛)
これが0.1%上がって0.5%→0.6%での返済となると(ほか同条件)、毎月の返済額は79,208円(1,333円アップ)、総返済額は33,267,429円(559,869円アップ)になってしまいます。
日銀の政策変更によって、変動金利で返済中(検討中)の方が不安になるのも当然です。
同水準の頃と比べてみると…
一方、住宅ローンの変動金利に関係する経済指標は「短期プライムレート」と呼ばれています。
この短期プライムレートを年代別に見ていくと、最新(2024年3月8日)は1.475%(※最頻値=最も多くの銀行が採用している水準)。この水準は、2009年1月13日から変わっていません。
その間、長期プライムレート(政策金利に連動、固定金利に影響する金利水準)は、全体的にはマイナス金利政策のもと下降しながらも、2009年10月~11月には1.70%→1.85%(0.15%アップ)、2010年11月~12月には1.40%→1.60(0.2%アップ)など上がっている時期もありました。
2009年~2024年現在まで、政策金利(長期プライムレート)が変わろうとも、変動金利に関わる短期プライムレートは一定のままです。
この前例に則って考えれば、今回のマイナス金利政策の解除によって、返済中の住宅ローン変動金利が急に大きく引き上がる可能性は「低い」とみてよいでしょう。
変動金利「5年ルール」と「125%ルール」がない銀行はヤバい!?
さらに多くの銀行では、変動金利の急上昇に備えて2つのルールを設けています。(※一部では設定していない所もあります)
- 5年ルール:金利上昇に関わらず5年間、毎月の返済額が変動しない
- 125%ルール:6年目以降も、先月比で125%までしか返済額が上がらない
では、これらのルールがない銀行がヤバいのかというと、そうとも言い切れません。
理由は先述の通り、そもそもマイナス金利政策が解除されたところで短期プライムレートが大きく上がりそうにないから。
さらに、5年ルールは有用だとしても、125%ルールが適用されるケースはほとんど起こり得ないからです。返済額125%アップって、相当経済的に大変な状態ですよ。
急激な金融ショック下では「借り手」が有利になる傾向
125%ルールが適用されるような経済になると、日本の金融政策も全体的にこのままでは済みません。
住宅ローンを払えない世帯、借金を返済できない企業が続出して、まるで戦中戦後のような状態になるはずです。これではローンの回収どころか税収なども全く見込めませんよね。
となれば、政府は何らかの緩和措置や救済措置を取るはずです。そう、昨年までのマイナス金利政策のように。
結局のところ、日本は当面、大胆な金利上昇はできず、「マイナス金利政策を解除」と言っても0.1%を少しずつ年数かけて引き上げていく程度の変化だということが予想できます。
であれば、わずかな金利の変化に身構えるよりも先に、「スタート時点でできるだけ低金利な住宅ローンを組む」、「団信に入る」、「6年目以降に返済額が上がっても困らないよう十分な収入や貯金を確保しておく」など、事前にできることがたくさんあるはずです。
杞憂な心配をせず、今できることに向かって着実に取り組みましょう。
では、また次回!