【解説】令和7年度税制改正大綱①「確定拠出型年金の改善・改悪」

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今月は、「令和7年度税制改正大綱」について学びなおし。

今年は税制が大きく変わりそうな1年です。そこで、まだ「予定」ではあるものの閣議決定した内容をあらかじめ把握し、実施された時のために対策をしておきましょう。

この「令和7年度税制改正大綱」については、以降、数回に渡って生活に大きく影響を及ぼしそうな事項に絞って丁寧に解説していきます。

今回のテーマは、「確定拠出型年金の改善・改悪」についてです。

改善:拠出限度額の引き上げ

確定拠出型年金(iDeCo、企業年金DC)について、令和7年度からは以下のように利便性が向上されます。

  • 企業型DC、DB:合計で最高5.5万円から6.2万円に引き上げ
  • iDeCo:第1号被保険者は6.8万円から7.5万円に、第2号被保険者は2.3万円から6.2万円に引き上げ
  • 企業年金・iDeCoの併用は、最高6.2万円

改善:マッチング拠出の要件緩和

企業型DCでのマッチング拠出(従業員が事業主掛金に上乗せして拠出する制度)について、現行の「加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えてはならないという要件」を廃止

改悪:退職所得控除の適用期間延長

現行では、60歳以降に企業DCの掛け金を一括で受け取る場合、会社の退職金の受け取り時期と「5年」間隔が空いていれば、DCも退職金も「退職所得控除」を満額適用となっていました。

しかし、令和7年度からは、これまでの5年が「10年」に延長される見通しです。

つまり、60歳でDCの掛け金を受け取って、65歳に退職金を受け取ったら、これまでより控除額が減少され、増税し手取りが減ってしまうことになります。

対策

まもなくDCや退職金を受け取る人向けの節税対策はケースバイケースです。

例えば、一括ではなく分割で受け取る。また、転職歴のある方は、勤続年数に応じて計算式が変わりますから、もっとも節税になる方法で申請するなど。働き方や社会保険料とのバランスを考えて、個別で最適解を探す必要があります。その際は、やはり税理士に相談するのがよいでしょう。

次に、受け取りが10年以上先になる方については、私からは以下のようなご提案をしたいと思います。

  • 今回のような途中での改悪自体、そもそもおかしいこと
  • 今後さらに改悪される場合もあるし、反発増によって撤回される可能性もある
  • よって、長期的には未知数。事前対策を講じるのは難しい
  • そこで、目の前の「掛金による所得控除」をフル活用し「今の節税」に務めるのが吉

時間がまだまだある方の出口戦略については、その時のルールに照らし合わせて考えましょう。

今どれほど慌てても、どうせ60歳まで資金ロックされているのですから。

では、また次回!

参照:税制改正の概要|財務省

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