本日は、「英連邦の今後」について学びなおし。
2023年1月19日、NZ・アーダーン首相が今年の2月7日までに辞任することを発表しました。
彼女は会見の中で「余力ない」と吐露。
コロナを筆頭にいろいろあった就任期間でしたからね。
そこはもう「お疲れ様でした」という感じです。
このニュースを見た時、私はとっさに昨年9月の発言を思い出しました。
結局、エリザベス女王の崩御もあって、今後ますます難しい局面を迎えるNZをこれ以上担っていけないと判断したのではないでしょうか?
エリザベス女王、亡き後の英連邦
先ほどの2022年9月のニュースを理解するには、「そもそも英連邦とは何か?」を理解する必要があります。
英連邦とは、正式名称「コモンウェルス・オブ・ネイションズ」。イギリス連邦とも表記されることがあります。
これは、イギリス帝国時代のほぼ全ての旧領土である56の加盟国から構成される国家連合。
簡単に言ってしまうと、産業革命頃を境にイギリスが貿易や戦争などを繰り返して植民地化した国々が集まり、いまだにイギリス君主をリーダーとして会議や経済活動を行っている組織です。
当ブログの他記事でも述べている通り、資本主義とはすなわち「イギリス中心の産業革命をベースにした世界」であり、いまだに当時の戦争の流れを組んだ政治・経済体制が今日まで続いています。
その中でも取り分け、第二次世界大戦以降の世界を束ねたエリザベス女王の影響力は大きなものでした。
そんなエリザベス女王が亡くなったというから大変。英連邦の加盟国は、昨年9月からざわつき始めたのです。
取り分け英連邦加盟国のうち英連邦王国に所属している国のマスコミは、自国のトップたちに「共和制へ移行するのか?」と問いただします。
英連邦と英連邦王国の違い
英連邦・加盟国の位置づけには3タイプあります。
- イギリス君主を自国の最上位リーダーとする『英連邦王国』加盟国(15か国)
- イギリス君主以外に独自の君主を持つ加盟国(5か国)
- 君主を持たない加盟国(36か国)
合わせて56か国、タイプは違えどすべてが英連邦に所属しています。そして、NZは、英連邦の英連邦王国に所属する15か国のうちの1つなのです。
現在のNZに独自の君主はいません。
もし、NZが英連邦王国から脱却し共和制になれば、NZの最上位リーダーは現在の英国・チャールズ国王から、憲法改正などを経てNZ国民から選出することになるでしょう。(現段階だと首相)
同盟国が決断を迫られる時が来た
NZ・アーダーン首相は、2022年9月の会見の中でメディアに対し「将来的には共和制へ移行するだろう」としながらも、その時期については「すぐという訳ではない」と強調していました。
今回の突然辞任の背景には、この辺りの問題を見通して彼女自身が政治手腕の限界を感じたのが大きな要因と言えそうです。
英連邦および英連邦王国は、エリザベス女王亡き後も英国・チャールズ王子がリーダーとなって存続していますが、その影響力はエリザベス女王ほど強くありません。
チャールズ王子への代替わりに加えて、世界の政治・経済が総入れ替えされようとしている中、英連邦・英連邦王国はいよいよ解体の危機にあります。
従来までは、イギリス君主と蜜月であればあるほどその国は安定的でした。
でも、まもなくそういう体制が終わってしまうという中で、このまま同盟国としてくっ付いているべきか否か……特に英連邦王国のトップたちは迷っている最中なはずです。
他の国の決断にも注目
ひとまずNZは、「いずれは共和制となる」としながらも現首相の段階では時期を明確にせず、次の首相にそのバトンは引き継がれることになりました。
気になるのは、他の加盟国の動向です。
現在、英連邦王国の加盟国になっているのはNZのほか14か国。そのうち、経済的な影響が多いとみられる国は、オーストラリア・カナダでしょうか?
さらには、英連邦王国がなくなるとあれば、英連邦の存続もまた無意味なものとなります。
総じて、イギリス君主をリーダーとして集まる国際組織そのものの意義が今、揺らごうとしているのです。
それは、世界の資本主義体制、引いては日本経済にも確実に波及していくことでしょう。
では、また次回!