【種苗法とは?】改正案、衆院農水委で賛成多数で可決

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本日は、NHKニュースより【種苗法改正案】というテーマで、学びなおし。

記事の概要

  • 種苗法の改正案が、17日の衆議院農林水産委員会で賛成多数で可決
  • 合わせて、農家に対して種や苗木が適正価格で安定的に供給されるよう施策を講じるなどとする付帯決議も可決
  • 種苗法の改正案は、新しい品種として国に登録された果物などの種や苗木が海外に流出するのを防ぐため、開発者が栽培地域を限定できるようにするほか、農家が種や苗を増やす際に開発者の許諾が必要になることなどが盛り込まれている
  • 改正によって、農家が新しい品種を利用しにくくならないように種や苗木が適正価格で安定的に供給されるような施策を講じることや、農家に対して制度見直しの内容について丁寧に説明することなどが盛り込まれた
  • 種苗法の改正案は、近く衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通し

学びなおしポイント

そもそも「種苗法とは何ぞや?」というところから、振り返ってみましょう。
恥ずかしながら、私もあまりよくわかっておりませんので。

平成十年法律第八十三号 種苗法(一部抜粋)

第一条(目的) この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。

第三条(品種登録の要件)次に掲げる要件を備えた品種の育成(人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定することをいう。以下同じ。)をした者又はその承継人(以下「育成者」という。)は、その品種についての登録(以下「品種登録」という。)を受けることができる。
一 品種登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること。
二 同一の繁殖の段階に属する植物体のすべてが特性の全部において十分に類似していること。
三 繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと。

第五条(品種登録出願) 品種登録を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した願書を農林水産大臣に提出しなければならない。

第十条(外国人の権利の享有) 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない外国人は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、育成者権その他育成者権に関する権利を享有することができない

第十九条(育成者権の発生及び存続期間) 育成者権は、品種登録により発生する。

第二十五条(専用利用権) 育成者権者は、その育成者権について専用利用権を設定することができる。

附 則 抄(一部抜粋)

第一条(施行期日) この法律は、千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十月二十三日及び千九百九十一年三月十九日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

附 則 (平成二七年九月一八日法律第七〇号) 抄(一部抜粋)

第二十四条(種苗法の一部改正に伴う経過措置) 前条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の種苗法(以下この条において「旧種苗法」という。)第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により種苗管理センターに行わせている栽培試験は、前条の規定による改正後の種苗法(以下この条において「新種苗法」という。)第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により研究機構に行わせている栽培試験とみなす。
2 施行日前に旧種苗法第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により種苗管理センターに行わせた栽培試験は、新種苗法第十五条第二項又は第四十七条第二項の規定により研究機構に行わせた栽培試験とみなす。
3 施行日前に旧種苗法第十五条第五項(旧種苗法第四十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により種苗管理センターが依頼した栽培試験は、新種苗法第十五条第五項(新種苗法第四十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により研究機構が依頼した栽培試験とみなす。

今回の改正ポイントと論点

  • 目的は開発者(育成者権者)の保護を強化すること
  • 農家は毎年、大量の種や苗を買うか、開発者に許諾料を支払わなければならなくなる
  • 農家であっても登録品種を無断で使ってはいけないことに
  • 新品種は、種苗会社のみならず、都道府県の公設試験場、農研機構、また個人の品種開発者等によって開発されている
  • 種苗法には賛否両論があるが、双方とも「日本の種を海外に取られてはいけない」という想いは共通している
  • 米の場合、登録品種の割合は全国平均で64%と高く、地域別に見ると、青森県99%、北海道88%、宮城県15%など、地域差も大きい。登録品種への依存度は小さくない
  • 登録品種の無断自家採種が禁止されることは、登録品種を増やして農家に買ってもらって儲ける誘因が企業に働くことを意味する
  • 在来種を基にして+αをもつ新品種が企業によって育成されたら登録できる。それが元の在来種よりメリットがあれば、在来種が駆逐され、企業の種を買わざるを得ない状況が広がっていく可能性
  • 農家が良い種を選抜して自家採種を続けていた在来種が変異して、どんどん変化している。それが、すでに登録されている品種の特性と類似してきていた場合に、登録品種と同等とみなされて権利侵害で訴えられる可能性も指摘されている
  • 自家消費を目的とする家庭菜園や趣味としての利用に影響はない
  • 遺伝子組換えについては、「カルタヘナ法」「食品表示法」「食品衛生法」に基づいて、農薬については「農薬取締法」に基づいて、適切な規制が別途行われており、種苗法の改正とは関係ない

意見・感想

今回の改正は、一言で表現すると「開発者(=育成者権者=品種改良できる個人・企業)の権利を守る」ものです。

現在のままだと、シャインマスカットをはじめとする日本で独自開発された優良品種が、海外に簡単に流出できてしまうのだとか。
農林水産省によると、過去には、サクランボ品種が無断でオーストラリアの農家に譲渡され、産地化された事例もあるそうですよ。

ただし、農家にとっては苦しい改正で、農地で登録品種を今まで自由に扱えていたのに、急に禁止になり手数料が取られてしまうようになるのです。

また、農家が自家採種を続けて良いものにしてきた種が登録品種に似ていたら、訴えられしまう恐れも……。簡単には自家採種できなくなりますね。

日本の農産物を守るという点は良いのですが、この通りでは農家へのダメージが大きいと思います。

海外への譲渡や流出を禁止することを強化して、国内における自由な品種改良は保護するなど、柔軟な改正へ持っていけないものでしょうか?

児童手当の改正でも思ったのですが、最近の改正は「これまでできたはずの権利が奪われる」という印象が目立ちます。

もちろん、それ以外の改正も行っているのでしょうが……。

子どもとか子育て家庭とか、農家とか。誰がどう見ても社会的に弱い立場の人の権利が優先的に脅かされているような気がしてならないのです。

解決策としては……そうですね。

一刻も早く、農業全体をIT化して、農家のコストと労働量を減らすこと。そして、個人でも農家が十分儲かるような仕組みをつくること!

それくらい、セットでやってもらわないと困りますよね。

では、また次回!

参考リンク

NHKニュース

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201117/k10012716451000.html

e-Gov法令検索

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=410AC0000000083

東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/68838

鈴木宣弘・東京大学教授(JAグループ)

https://www.jacom.or.jp/column/2020/06/200604-44664.php

Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/bcc5eb6d1a3cd130923026cfeb72a569afc96d46

農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html

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2件のコメント

  1. 音楽などの著作権と似た状況なのですね。記事の趣旨に賛成です。私は喫茶店や音楽教室などで音楽を気軽に利用された方が権利者にとっても良いと考えています。日本国内の実情を考えて運用して欲しいですね。

    1. コメントありがとうございます。これまで自由だったものが奪われるのは、当事者にとって大きな問題ですよね。どうにか、日本の農産物だけではなく「農家」を守ってくれるように改正してほしいものです。(またのお越しを、お待ちしております!)

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