本日は、みずほフィナンシャルグループ(リサーチ&コンサルティング業務部)のシンクタンクレポートより「米国は、今後どうなるのか?」というテーマで、学びなおし。
この資料は、2020年11月21日に発表されたもので、少し古いです。
ですが、トランプ政権のまとめとバイデンの公約などが非常にわかりやすく載っていたので、もう一度、確認する価値があると思いました。
レポート「大統領選挙後の米国を考える(改訂版)」とは?
- 2020年11月21日に発表
- 11月3日のアメリカ大統領選挙において、民主党のバイデン氏が当選確実となったことを受けて、トランプ政権からバイデン政権への政権交代を展望し、その経済・産業への影響を分析している。
このレポートでは、トランプ政権の成果と課題、そして、バイデン政権になって公約が守られたら(仮)どうなるかを予想するものです。
トランプ政権のレガシー
- 景気の長期成長を達成も、コロナ禍で「包摂的な成長」の課題が再浮上
- 深刻な所得格差が継続
- 大統領による強硬策で党派対立に拍車、議会の機能不全が深まる悪循環
- 世論では、超党派の合意を求める機運が低下
- 議会による立法ではなく、行政命令等を通じて、大統領権限を積極的に活用(数の多さもさることながら、入国禁止令など、論争的な案件での活用が特徴的)
- 外交においては、たとえ米国が試みたとしても、グローバルな対応でのリーダーシップを発揮する余地が低下
- 就任直後にTPP(環太平洋パートナーシップ)から離脱
- 中国に対し、62年通商拡大法232条や74年通商法301条に基づく追加関税を課し、第1段階貿易合意を実現
- 日本等の同盟国に対しても、鉄鋼・アルミ製品への追加関税発動、自動車・同部品への発動の脅しを背景に交渉
- TID(技術、インフラ、データ)への中国のアクセス制限、中国製品・サービスの排除
- 香港人権・民主主義法、香港自治法が成立し、香港への特別待遇を停止
- ウイグル人権法成立、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与した中国企業をエンティティリストに掲載
- 外国企業説明責任法(審議中)により、米株式市場に上場する中国企業への監査強化へ
- パリ協定、WHO(世界保健機関)、UNESCO(国連教育科学文化機関)、国連人権理事会から脱退(通告)
- 日米関係は、首脳間の蜜月関係に基づく良好な関係を維持、日米同盟の強化図る
- サステナビリティ対応に消極的(企業によるサステナビリティ重視の動きが先行)
バイデン政権の政策
- コロナ禍からの復興と構造改革の二兎を追う(― 復興と構造改革の組み合わせは、大恐慌後のニューディールと類似)
- 歳出・歳入で「大きな政府」を提案(環境・インフラ投資が大きいが、教育、医療保険制度改革等でも歳出増を見込む)
- 富裕層(所得・給与・遺産税)、企業(法人税)を対象に、増税を提案。中低所得層等には政策減税
- 国内政治・経済の再建を最優先。それによって国際的リーダーシップを回復し、中国との競争を有利に
- 通商政策では、単独主義から転換。同盟国とは協調を重視、制裁関税等の一方的措置の発動を抑制
- パリ協定への即時復帰等、米国が主導してきた枠組みへの復帰
- 包括的なEPA(経済連携協定)締結を目指す第2段階の交渉へ、将来的な米国のTPP復帰も検討
- 「小さな政府」を志向する共和党との対立などから、急進的・抜本的改革は困難
- プラットフォーマーが「審判と選手を兼ねるのは反競争的」との判断は、超党派で共有
- 2013年に上院で成立した移民制度改革法をモデルに、不法移民の合法化プロセス創設を提案
感想とまとめ
今見返すと、いろいろ当初(2020年11月頃)とは読み取り方が変わります。
まずはトランプ政権。
一言で表すならやはり「分断を深めた」という言葉に尽きるでしょう。
株価の続伸など経済成長を達成させた一方で、低所得者を切り捨てるような経済政策で国内の所得格差は大きくなりました。
また、対中をはじめとする諸外国へは常に強硬姿勢。
しかしなぜ、中国をこれほどまで執拗に敵視していたのか……。
これまで私はずっとわからずにいましたが、今になってようやく理解ができました。
おそらくトランプ氏は、就任直後からアメリカの領域を中国に脅かされているということに強い危機感を抱いていたものと思われます。(これに関しては、長くこみいった話になるので、本日は割愛させてください)
トランプ氏によって、分断極まったアメリカ。そして、ここから時代はバイデン政権へ。
バイデン氏の政策は、先のルーズベルト大統領によるニューディール政策とよく似ています。「世界恐慌から抜け出したノウハウをもう一度やるよ!」とアピールすれば、国民にも耳障りが良く伝わりやすいですね。(←皮肉です)
しかし、ここから果たしてそう上手くいきますか……。
私は、難航極めると思います。
なぜなら、当時ほどアメリカにリーダーシップがないからです。世界への影響力が確実に弱まっている。しかし、それはトランプ政権のせいだけじゃないと私は思っています。(そこに、中国を中心とした世界の思惑が絡んでくるのですが……)
2021年1月6日、つい先日も、トランプ大統領支持者と名乗る人々が連邦議会に乱入し、 次期大統領の正式な選出を妨害したという騒動がありました。
こんな騒ぎが、トランプ氏が政治から消えてからもまだまだ起こってくると思うのです。
そしてあれよあれよという間に、アメリカは盛者必衰の一途をたどります……。
ちょっとアメリカ大統領選挙の話になると、話したいことが多すぎてまとまらないですね。
それだけ長い歴史と裏の構造によって、アメリカは世界の「見せかけの王」としてその役割を200年近く担ってきた、というのが私の見方です。
日本だって大きく影響されているんですよ。
それこそ、日本国内のコロナ対策がぐだぐだなのも、アメリカの破壊と世界の再生に日本が振り回されているがゆえの結果なのですから……。
では、また次回!