【Amazon】学費全額負担するもう1つの理由と、米国経済への影響

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本日は、「Amazonによる従業員の学費全額負担」について学びなおし。

一見ただのいい話に見せかけてAmazonもしっかりメリット掴んでるよ、ってお話です。

Amazon、従業員の学費を全額負担 75万人対象

2021年9月10日、日経新聞は以下のように報じています。

  • 9日、アマゾン・ドット・コムは、米国の物流拠点で働く時間給の従業員75万人を対象に、大学の授業料を全額支払うと発表
  • 年末商戦を前に人材をめぐる競争が激化するなか、福利厚生を拡充して人手確保につなげる
  • 1月から入社90日目以降の大学の授業料・手数料・教科書代を負担
  • 高校卒業資格取得に向けたプログラムや、英語を母語としない従業員の英語資格などの関連費用も対象

これ、対象の従業員からすれば最高ですし、これから就職を考える人も「Amazonに入りたい!」という気持ちになりますよね。

日経新聞では、Amazonがこのような戦略を打ち出した理由を「人材確保」と伝えているのですが……果たしてそれだけが理由でしょうか?

もっと大きな理由とメリットがあるのです。

学費負担は節税対策!

福利厚生って、経費になりますよね。

経費が多ければ税金も安く済むわけです。

独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、アメリカ企業には教育補助(Educational Assistant)授業料返済プログラム(Tuition Reimbursement Program)というものがあり、これからは税控除の対象になるそうです。

今回のAmazonの取り決めは、これらのプログラムをさらに強化したものと思われます。

つまり、Amazonは「人材確保+節税対策」を目的に従業員の学費を全額負担することにしたのです。

米国”企業”が儲かっても、米国”経済”は潤わない理由

2021年6月9日、産経新聞をはじめとする報道で『アマゾン創業者ら上位25人の米富裕層は、税金をほぼ払っていない』と伝えられました。

これは特段、悪いことをしているわけではありません。

記事をよく読むと『富裕層が保有する株式などの資産は、売却して利益が確定しないと課税所得とみなされない』と書いてある通り、元々25人の富裕層に課税義務はないのです。

でも、米国経済を回している人たちがほとんど税金を払っていないという事実も、それはそれで不都合な真実です。「法律違反をしているわけではないけれど、実際いかがなものか?」という趣旨の報道なんですよね。

このように特にアメリカでは、とてつもなく儲かっているはずの企業や個人が徹底した節税対策をすることで、ほとんど米国の税金に貢献していないという実情があります。(チャリティーは活発みたいですけどね)

日本人の「米国株最強神話」に疑問

Twitterで株式投資界隈をのぞくと、よくこんな投稿が見られます。

『日本人の多くは、iPhoneを使うし、Googleで検索するし、コカコーラやP&Gの製品をAmazonで注文して、YouTubeやNetflixで余暇を過ごす。だからこれからも米国株、最強!』

まあ、企業自体は今後も成長するかもしれませんからね。否定はできません。

でも、これらの企業があの手この手で節税対策をした挙句、肝心のビジネス土壌である米国経済そのものは金融緩和策の長期化で着実に弱体化しているのですから……どうなのでしょう?

このまま安心して「米国株さえ買ってりゃOK!」と言えるのでしょうか?

……少なくとも私は言えません。

むしろ、今回の「 Amazonによる従業員の学費全額負担 」の報道を受けて、ますます米国株に不安を感じた次第です。

企業が儲かることと、株価が上がることって、必ずしもイコールじゃないですしね。

では、また次回!

参考リンク

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